ワークショップにおけるコツの研究(15)アトリエ的学習環境
2015.01.25 Sunday
シナリオの作成など、大量のテキストが出てきた場合。
ひとつひとつ講評してあげたいのだが、短時間のワークショップではそこまで手が回らない場合がある。
そこで学習者は、他の学習者が書いたものをじっくり読むのはとても勉強になる。
そこで学習者は、他の学習者が書いたものをじっくり読むのはとても勉強になる。
授業者は、その中で気になったものを、「ちょっとちょっと集まって。」と周りにいる人たちを集めて話をする場合がある。
「これってさ、この人だけの問題じゃなくて、皆にも結構共通することだからさ〜。」みたいに。w
「アトリエ的学習環境」という考え方がある。
公立はこだて未来大学の美馬のゆり先生や東京大学大学院情報学環の山内祐平先生が提唱した考え方で。
公立はこだて未来大学の美馬のゆり先生や東京大学大学院情報学環の山内祐平先生が提唱した考え方で。
作品を制作する学習環境のことだ。
通常の教室環境と異なる点は、学習者の制作過程が授業者や他の学習者に公開され、物理的なものだけではなく、そのインタラクションが共有されること。
美術系の授業を見てみると、演習室(アトリエ)では、学生はそれぞれイーゼルを立てそこに置いてあるキャンバスに向かって絵を描いている。
その間を教員が回って歩き、各学生にコメントをしており、学生も自分のまわりの同級生の作品を見ることが出来る。
同じ課題に取り組んでいる同級生がどんなものを描いているのか、その進行状況も見ることができ、また教員の同級生へのコメントも聞こえてくる。
これに対して、講義型の授業では、同じ授業に出ている同級生が何を考えているのかを知ることができない。
中間や期末に提出するレポートも、担当教員に提出するだけで、同級生が何を感じ、何を考え、何をまとめてレポートにしたのか見る機会は無い。
同じ教室で、同じ授業を一緒に受けていても、それは教員と学生の1対1の関係で、比べることができないのである。
美術系大学のように、同級生がその授業から何を受け取っているのか、それに対する教員のコメントも共有することができれば、その内容に対してさらに深い理解につながるはずである。
こういった環境を「アトリエ的学習環境」と呼ぶ。
引用:「未来の学び」をデザインする(東京大学出版会)美馬のゆり・山内祐平
ワークショップを受けている側も、他の人の話を「他人事」だと思わずに「自分事」だと思って聞き耳を立てることも学習の態度である。
◇ワークショップのコツ、アーカイブ
第01回:三種の神器
2)WSの実施
第05回:シャーペン禁止
第08回:壁に向かってブレストしよう
第09回:模造紙の貼り方
第11回:コンセプトが混迷したら
第12回:キャズムを越えろ!
第13回:学びのコストの勘違い
3)WSで使う手法
第14回:プラグマティック・ペルソナ
第15回:アトリエ的学習環境