経験デザインと食のエスノグラフィーを語る私的なブログ
ワークショップにおけるコツの研究(15)アトリエ的学習環境
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 シナリオの作成など、大量のテキストが出てきた場合。
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 ひとつひとつ講評してあげたいのだが、短時間のワークショップではそこまで手が回らない場合がある。
 そこで学習者は、他の学習者が書いたものをじっくり読むのはとても勉強になる。
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 授業者は、その中で気になったものを、「ちょっとちょっと集まって。」と周りにいる人たちを集めて話をする場合がある。
 「これってさ、この人だけの問題じゃなくて、皆にも結構共通することだからさ〜。」みたいに。w
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 「アトリエ的学習環境」という考え方がある。
 公立はこだて未来大学の美馬のゆり先生や東京大学大学院情報学環の山内祐平先生が提唱した考え方で。
 作品を制作する学習環境のことだ。
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 通常の教室環境と異なる点は、学習者の制作過程が授業者や他の学習者に公開され、物理的なものだけではなく、そのインタラクションが共有されること。
 美術系の授業を見てみると、演習室(アトリエ)では、学生はそれぞれイーゼルを立てそこに置いてあるキャンバスに向かって絵を描いている。
 その間を教員が回って歩き、各学生にコメントをしており、学生も自分のまわりの同級生の作品を見ることが出来る。
 同じ課題に取り組んでいる同級生がどんなものを描いているのか、その進行状況も見ることができ、また教員の同級生へのコメントも聞こえてくる。
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 これに対して、講義型の授業では、同じ授業に出ている同級生が何を考えているのかを知ることができない。
 中間や期末に提出するレポートも、担当教員に提出するだけで、同級生が何を感じ、何を考え、何をまとめてレポートにしたのか見る機会は無い。
 同じ教室で、同じ授業を一緒に受けていても、それは教員と学生の1対1の関係で、比べることができないのである。
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 美術系大学のように、同級生がその授業から何を受け取っているのか、それに対する教員のコメントも共有することができれば、その内容に対してさらに深い理解につながるはずである。
 こういった環境を「アトリエ的学習環境」と呼ぶ。
 引用:「未来の学び」をデザインする(東京大学出版会)美馬のゆり・山内祐平
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 ワークショップを受けている側も、他の人の話を「他人事」だと思わずに「自分事」だと思って聞き耳を立てることも学習の態度である。

◇ワークショップのコツ、アーカイブ
   第01回:三種の神器
1)WS開始時
 第02回:募集から始まるWS 
 第03回:チーム編成
 第04回:グループは内輪で組まない
2)WSの実施 
 第05回:シャーペン禁止
 第09回:模造紙の貼り方
3)WSで使う手法
posted by アサノ | 16:00 | ワークショップのノウハウ | comments(0) | trackbacks(0) |
ワークショップにおけるコツの研究(14)プラグマティック・ペルソナ

 最近、ペルソナを作る時に以前より簡単に作るようになってきた。
 樽本さんらアジャイル開発で言うところの「プラグマティック・ペルソナ」とか「プロト・ペルソナ」である。
 ポイントとしては。
・基本情報(簡単なプロフィール)
・利用状況(ユーザー特有のコンテキスト)(なぜ他のものを選ばずにそれを使うか)
・ゴール(それを使うことで得られるUX)
 である。
 そのための「半構造化インタビュー」の質問項目もこれに沿って行えば良い。
 特にワークショップの時は、インタビューや観察があまり丁寧に出来ていないことが多いので、無理にヘビーなものを作る必要は無い。
 プロフィールに凝ると、WSが妙に盛り上がるがあまり意味が無いことが多い。
 むしろ回が進むにつれて育って行くぐらいの方が良いであろう。
 大切なのは、開発のスタート時に「対象のユーザー」を特定することだ。
 ワークショップの場合は、調査をそこそこにしてユーザーを特定するために「仮説ペルソナ」を簡易に作る場合が多い。
 これは、参加者がペルソナ法を「そんなものか」と誤解する可能性があるので気をつけたい。
 本当に大切なのは「ペルソナ/シナリオ法」のシナリオ部分である。
 ペルソナを作ることも大切であるが、更に重要なのは開発の全工程で使うエネルギーが必要なことだ。
 作っただけで安心して、ユーザー評価になると全然関係ない被験者を連れて来たりするチームがよくあるので気をつけようね。w

◇ワークショップのコツ、アーカイブ
   第01回:三種の神器
1)WS開始時
 第02回:募集から始まるWS 
 第03回:チーム編成
 第04回:グループは内輪で組まない
2)WSの実施 
 第05回:シャーペン禁止
 第09回:模造紙の貼り方
3)WSで使う手法
posted by アサノ | 06:21 | ワークショップのノウハウ | comments(0) | trackbacks(0) |
ワークショップにおけるコツの研究(13)学びのコストの勘違い
 先日「情報デザインフォーラム」で話したことを蒸し返す。w
 テーマが「ワークショップのコツ」だったのだが。
 どうも最近気になってしょうがない事がある。
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 私は年間50〜70回ぐらいのワークショップをやっている。
 1ヶ所で連続10回近くやる地域や企業もある。
 2年間連続で20回ぐらい受ける人も稀ではない。
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 しかし、まったく理解が進まない人が多いのだ。
 まったく時間とコストの無駄。ww
 まずいことに、本人は至ってのんきで、毎回ワークショップを楽しんでいる。
 困るんだよな〜。w
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 企業でトップダウンで学びに来ている人もいる。
 それでも2年間やっても、何も身につかない人がいる。
 これはモチベーションの問題の話では無いのだ。
 学び方が間違っているのである。
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 ワークショップにはいろいろな目的がある。
 今回話すのは、UXやHCDに関する考え方を学ぶワークショップについてである。
 学びのための時間(コスト)については諸説があるが。
 どうも、そのことが自分に向いているか判断するには20時間はやってみないと分からないというジョシュ・カウフマンの話は本当のような気がする。
 以前、スキーのインストラクターに聞いた話では「1泊でスキーを初めてやりに来た人間は2度と来ないが、2泊で来た人間はまた来る。」というのがあった。
 1泊だと6時間×2日間で転んでばかりで楽しいと思わないが、2泊だと6時間×3日間で最終日に少し滑れて成功体験が出来るので楽しくなる。と言うのだ。
 それはとても分かる気がする。海外旅行に行っても、一つの街で1泊しかしない場合と2泊する場合で、まったく印象が違うことがある。
 やはり、ある程度の時間が成功体験を作るからなのだろ。

 また初心者を脱するには1000時間という俗説も分かる気がする。
 スキーの1級もTOEICの800点も、死にもの狂いで2年間というのを聞いたことがある。そのことに専念できるのは、相当時間を捻出しても2年間で1000時間ぐらいがが限度である。
 これは大学院の修士課程や、他の勉強にも当てはまる気がする。
 以前、トップクラスの美術大学に入る為のデッサンのトレーニングの時間を計算したら、やはり1000時間だった。石の上にも3年みたいな感じか。
 但し、これは専門家になるということでは無く、専門家のスタートラインに立つ資格を得るには、まず1000時間ということなのが分かる。
 そして専門家になるのは10年か10000時間だ。
 専門分野によっては最短で10年で行けるが、頭脳をフル回転させなくてはいけないような分野だと1日2時間ぐらいしか出来ないので10000時間。
 世界的なピアニストでも、子どもの頃は1日2時間のレッスンで大学に入るまでに10000時間のトレーニングを終えるという。
 ビートルズは売れるまでハンブルグのライブハウスで毎夜8時間し続けた。
 しかし、これも超一流になる入り口に立つために最低10年から1万時間かかるという話だ。
 イチローだって、超一流になってからの時間の方が長い。
 ここで分かってきたのは、学びにはどんなものでも絶対的な時間が必要だということなのだ。
 いわゆる千本ノックだ。楽をして甲子園に出た高校球児はいない。w
 となると月に1〜2度開かれるワークショップでは専門的なスキルは身につかないということになる。
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 では何の為にワークショップはあるなだろうか?
 ディビット・コルブの経験学習理論で言えば、大量な具体的な体験をすることがスタートである。これはワークショップでは賄えない。
 
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 ワークショップの役割は「省察」にあるのだ。
 自分が大量に行ってきた(1000〜10000時間の)体験を、振り返って理解を深めるために行うのが正しい。
 そこで得た知見を、自分の仕事にフィードバックして活かしてこそ学びの成果になるのである。

◇ワークショップのコツ、アーカイブ
第01回:三種の神器
1)WS開始時
 第02回:募集から始まるWS 
 第03回:チーム編成
 第04回:グループは内輪で組まない
2)WS実施 
 第05回:シャーペン禁止
 第09回:模造紙の貼り方
posted by アサノ | 06:33 | ワークショップのノウハウ | comments(0) | trackbacks(0) |
ワークショップにおけるコツの研究(12)キャズムを越えろ!
 先般のHCD-Netフォーラムで、樽本さんがポスター発表でとても興味深い話をされていた。
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 今まで誰も言って来なかった、HCDの調査・分析と設計の間には「キャズム(深い溝)」があるという話。  
 僕は、これをデザイナーのジャンプと呼んできたので、非常に良く分かる。 
 同じ調査と分析に手間をかけても、デザイナーによって創るものは違うよね。  
 デザイナーは調査や分析を疎かにして、目についた事象だけで解決案を作ってしまう。

 これを「デザイナーの大ジャンプ」と言って墜落する可能性が高い。
 以前、寺沢先生が階段の図を描いて、同じようなことを説明していた記憶がある。
 出来るだけ調査や分析でキャズムの幅を狭くしてあげなくてはいけないのだ。
 以前、ある街で参加型のフィールドワークを行った時に。(写真はイメージです)
 ほとんどの参加者は「今まで気がつかなかった事に気がついた。」と回答したのに対して。
 「いつも見ているものと変わらず、なんの発見も無くつまらなかった。」と答えた参加者がいた。
 これなんかは、結局人と同じものを見ても、「問い」が立たない為にソリューションにつながるインサイトを得られていない例だ。
 この調査。・分析からソリューションの提案・設計にジャンプする際に「え〜、そんなんだったら、何もあんなに何人ものユーザーを観察しなくても分かるじゃん。」みたいな提案は多いよね。
 たとえば、私がよくやる「ゼリーのオブザベーションWS」などでも、蓋が固いので開け易くしましたという提案が多いが。
 3人も4人も食べさせて、作業プロセスを緻密に観察しなくとも、自分で一度食べれば分かることを「問題」だと思って、そこから思考停止してしまうのはもったいない。
 この辺りは、1回や2回のワークショップで養えるものではなく、個人の経験にもよることになるのだが。
 出来る限り、調査と分析を緻密に行い「インサイト(洞察)」を得ることが「問題発見」への近道になることを覚えよう。
 コツは「モノ」ではなく「ヒト」を視ることだと思うよ。

◇ワークショップのコツ、アーカイブ
   第01回:三種の神器
1)WS開始時
 第02回:募集から始まるWS 
 第03回:チーム編成
 第04回:グループは内輪で組まない
2)WS実施 
 第05回:シャーペン禁止
 第09回:模造紙の貼り方
posted by アサノ | 06:08 | ワークショップのノウハウ | comments(0) | trackbacks(0) |
ワークショップにおけるコツの研究(11)コンセプトが混迷したら
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 ワークショップの最中に、コンセプトが決まらずににっちもさっちも行かなくなる事がある。
 そういう時に試して欲しい技術に「シャッフルディスカッション」がある。
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■シャッフルディスカッション   
1)締め切り時間を決めて、グループ内でコンセプトを大まかに決める。    
2)決めたコンセプトを、グループのメンバー誰もが他人に説明できるように理解する
3)時間が来たら、グループより1名が他のグループに行き、他のグループから1名を迎え入れる。   
4) 他のグループから来た人間に対して、グループ内の1名が自分達が「やろうとしている事」を5分間説明する。  
出来るだけコンセプトシートやスケッチなどを使い、具体的に説明する。   
5)他のグループから来た人間は、その説明に対して質問やアドバイスを5分間行う。    
6)説明をした グループの人間は、質問に対して答えたり、アドバイスに対して反対に質問をする。   
7 )時間がきたら、また人間を入れ替えて、同じ事を行う。 注意点としては   
※セッションごとの説明や回答は必ず1名で行う。グループのメンバー全員でワイワイやらず、しっかりと観察に回る。  
※セッションが変わったら、また違うメンバーが1人で説明・回答を行い、他のメンバーは観察する。
8)数セッション(10分×2〜3回)終わったら、チームのメンバーで、もう一度リフレクションする。
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 大抵の場合は、コンセプトが決まっていないのに情報だけが過多になり思考が停止していることが多い。
 教員やファシリテーターのアドバイスですら、ますます未消化な情報が増えるだけで、混乱に拍車をかけることになる。
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 就職活動で自分がやりたいことが決まらずに何社も受けて落ち続ける学生に似ている。
 最初に大まかで良いから暫定版コンセプトを決めてしまえば、それからの修正は容易である。
 まずは強制的に暫定版コンセプトを決めさせてしまうのが「シャッフルディスカッション」である。
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 今は使われているか分からないが、かなり前に武蔵工業大学(現:東京都市大学)の小池研究室でワークショップ時のファシリテーションの技術として始まった。
 草の根的な発生であるが、私がまとめて学会発表した経緯がある。
 経験的には、結構効き目があるものだ。

■シャッフルディスカッションを行うと、以下の効果がある。  
1)強制的に時間を決めてコンセプトを他人に説明できるレベルに落とすことにより、長時間悩むという非生産的な行為を抑制できる。  
2 )他のチームのメンバーから、違う視点のアドバイスを受けることにより他人の目線を得られる。  
3 )人に説明することにより、思いがけない気づきがある。  
4)煮詰まってしまった議論がブレイクスルーするきっかけとなる。

◇関連情報:

◇ワークショップのコツ、アーカイブ
   第01回:三種の神器
1)WS開始時
 第02回:募集から始まるWS 
 第03回:チーム編成
 第04回:グループは内輪で組まない
2)WS実施 
 第05回:シャーペン禁止
 第09回:模造紙の貼り方
posted by アサノ | 00:15 | ワークショップのノウハウ | comments(0) | trackbacks(0) |
ワークショップにおけるコツの研究(10)ブートキャンプ
 授業のブートキャンプで使うための「スパゲッティ・キャンチレバー」の材料を買って来た。最近は100円均一ショップで何でも揃うので大助かりだ。
 並べて点検。忘れやすいモノに「メジャー」と終わった後に大量のスパゲッティを捨てる「ゴミ袋」がある。気をつけよう。
 後はA4コピー用紙とプロッキーもあった方が便利。
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 大体こんなもので出来ます。
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 先にまとめておかないと、時間が無駄になる。
 パスタはディチェコのNo.12(1.9mm)というのが太くて折れにくいのだが、新横浜の成城石井には無かった。。
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 ここから先は、やってみてのお楽しみ。ww

◇スパゲッティ・キャンチレバー関連リンク

◇ワークショップのコツ、アーカイブ
   第01回:三種の神器
1)WS開始時
 第02回:募集から始まるWS 
 第03回:チーム編成
 第04回:グループは内輪で組まない
2)WS実施 
 第05回:シャーペン禁止
 第09回:模造紙の貼り方
posted by アサノ | 00:25 | ワークショップのノウハウ | comments(0) | trackbacks(0) |
ワークショップにおけるコツの研究(9)模造紙の貼り方
 どうでもよいと言えばどうでもよいことなのだが。
 ワークショップをやっていて、皆さんの模造紙の貼り方がやたら気になる。W
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 皆さん、こうやって貼る方が多いのだが。(よく見えるようにクラフト紙にガムテープで再現してます)
 1)使うセロテープの量の割には、壁に当たる面が少ない。
 2)はがす時に破れやすい。
 3)模造紙自体がピンと張れない。
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 こちらが、本当の張り方。
 わしら学生時代に製図板にトレーシングペーパーを貼る時に教わったやり方だ。
 こうやって、模造紙を対角線上に引っ張りながらやると、バッチリきれいに貼れる。
 更に、剥がす時に模造紙の傷みを最低限に抑えられる。
 おお、流石に産技大の履修生は優秀ですね。



◇ワークショップのコツ、アーカイブ
   第01回:三種の神器
1)WS開始時
 第02回:募集から始まるWS 
 第03回:チーム編成
 第04回:グループは内輪で組まない
2)WS実施 
 第05回:シャーペン禁止
 第09回:模造紙の貼り方
posted by アサノ | 00:23 | ワークショップのノウハウ | comments(0) | trackbacks(0) |
ワークショップにおけるコツの研究(8)壁に向かってブレストしよう
イメージ画像
 ワークショップでよく見かける情景に、チーム全員で座ったまま腕を組んでウンウン考えている姿がある。
 (写真はイメージ画像です、ご本人達の名誉のために。)
 ものを考えるというのは、頭を使う事では無く、手を動かして作業をすることだ。
 手が動かなくなった時点で「思考停止」していると思って、次のアクションを考えよう。
 私は学生に「動かした手に神は宿る」と教えている。w
 手を使って行う作業の最も単純なことは、自分の頭の中身を外に出すことだ。
 頭の中身を「話す」は「離す」だという、いっそカードに書きだしてしまおう。
 自分の頭の中身を外に出すことを認知心理学用語で「外化」という。
 紙では無くモックアップを作って、それを触りながら議論するのも良い。

 最近では資料を机の上に広げるよりも、床や壁に貼って皆がそれを見ながらブレストすることによって意見の交換が活性化することが分かってきた。
 ブレストの過程において、意見が属人性を持たず「そこにある意見」として公正公平に扱われ易いからだろう。

 なかなか顔を合わせた状態でブレストの4つのルールを守ることは難しいものだ。
 だいいち、ブレストのルールを素養として知っているのはデザイナーだけで、エンジニアには知らない人も多い。w

 論文でも、2007年日本デザイン学会で富士ゼロックス株式会社ヒューマンインタフェースデザイン開発部による「ワーク観察とプロトタイピングを通じたドキュメントワーク環境のデザイン」で報告されている。
 ホワイトボードはスペースが限られて思考のダイナミズムが阻害されるようで、私はあまり好きではない。
 むしろ壁とか窓に貼ったほうが、スペースの制約なく議論が発展し易いと思う。

 よくアメリカなんかの刑事もの映画で、壁一面に容疑者の写真や現場の地図、様々な資料を貼りつけて熟考するシーンがあるでしょ。
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 一覧性があるというのも大切な事だ。
 ということで、ワークショップを開く場合は出来るだけ壁の多い所をリクエストすることにしている。

■ワークショップ以後の効果
 実務でいえば長時間に渡る推敲も可能だということは重要である。例えばブレストの翌日、一人でコーヒーを飲みながらカードを動かしてみるとか。
 また、この壁のアウトプットを時系列で撮影して議事録代わりにすることがある。
 ネットで共有して参加者がコメントを入れることで、非参加者にもリアルタイムに思考のプロセスが理解出来るものだ。
 日産の議事録(V-up)もこの方式だ。
 我ら情報デザインフォーラムでも、書籍の編集会議のブレストと議事録はこうしている。

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   第01回:三種の神器
1)WS開始時
 第02回:募集から始まるWS 
 第03回:チーム編成
 第04回:グループは内輪で組まない
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 第05回:シャーペン禁止
 第09回:模造紙の貼り方
posted by アサノ | 00:03 | ワークショップのノウハウ | comments(0) | trackbacks(0) |
ワークショップにおけるコツの研究(7)HCDを学ぶなら調査やペルソナから入らない
 以前、論文でも書いたことがあるのだが。
 ある企業でHCDプロセスを1年半10数回に渡って講義とWSをしたことがある。
 その時に、最終回に採ったアンケート結果がこれだ。
 アクティングアウトとユーザーテストの満足度がかなり高い。
 「どの手法に有用性を感じたか」という質問に対しても、ユーザーテストが圧倒的に高く、ユーザー調査やペルソナ/シナリオ法に関しては分が悪い。
 この企業は、以前あるコンサル会社のペルソナWSを受けて評判が悪く、ペルソナアレルギーがあったということもあるが。。
 やはり、短期間で学ぶセミナーやWSで学ぶにはユーザー調査やペルソナ/シナリオ法は敷居が高いのであろう。
 m社で社内研修をした時には、デビッド氏から「ユーザーテストから始めるのは上手いね。」とお褒めをいただいた。 

 結果を総合すると、HCD 手法のうち下流プロセス(特にユーザーテスト)は比較的効果が実感しやすく、またプロジェクト規模やフェーズに応じてボリュームの調整がしやすいので、インターネットサービス事業において最初に取り組むHCD 手法として適当ではないかと考えることができる。
 その一方で、上流プロセス(ユーザー調査、ペルソナ/シナリオ等)は現場での負担感が高く、また効果も実感しにくかったようである。
 こちらを行う場合は、社内の機運や環境が十分整ってから取り組むか、もしくはHCDに熟知したメンバーをサポートで参加させるなどの対策を施しておいた方がよいだろう。

 ということで、以降は大体ユーザー評価でHCDの効果を実感してもらってから、上流の工程を学ぶようにしてもらっている。
 こんな感じである。
◇2012年ボヤージュグループ HCDワークショップ アーカイブ
2月10日(金)第1回:HCD概論
2月24日(金)第2回:オブザベーションWS
3月09日(金)第3回:ユーザー評価(観察法)
3月16日(金)第4回:ユーザー評価(NE比解析)
5月11日(金)第5回:ペルソナ/シナリオ法(半構造化インタビュー)
5月25日(金)第6回:ペルソナ/シナリオ法(構造化シナリオ法)
6月08日(金)第7回:ペーパープロトタイピング
 2012年9月のヒューマンインタフェース学会では、その事を報告しました。
 そこで重要なのは、先にユーザー評価をやっておくと、後半に学ぶ構造化シナリオ法への導入がスムーズな事が挙げられる。
 ユーザー評価の被験者が手にするタスク(アクティビティシナリオ)と、評価者が手元に持つ答え(インタラクションシナリオ)の概念の理解である。
 これはとても大切なことで、日程的な問題で唯一その順番でWSが出来なかったUX静岡では惨憺たる結果になったのは反省しきりである。


◇ワークショップのコツ、アーカイブ
   第01回:三種の神器
1)WS開始時
 第02回:募集から始まるWS 
 第03回:チーム編成
 第04回:グループは内輪で組まない
2)WS実施 
 第05回:シャーペン禁止
 第09回:模造紙の貼り方
posted by アサノ | 00:14 | ワークショップのノウハウ | comments(0) | trackbacks(0) |
ワークショップにおけるコツの研究(5)シャーペン禁止
 2008年、渋谷で行われたインフォグラフィックスのWSに参加した時に。
 皆さんブレストする時に、紙に図を描きながら話す。
 参加者はメーカー系のデザイナーさん達が多かったのだが、皆さんシャーペンや細いボールペンを持っている人が全然おらず。
 割と濃いめの筆記用具を持って来て使っている人多し。
  メモすら濃いめのマーカー類で書くので「この人達訓練されてるな。」と感動したものだ。
 WSでは議論する時に「自分の意見を外化する」ために、出来るだけ書いてチーム内で共有する。
※外化:認知科学で使う言葉。自分の考えを脳の中に閉じ込めたままにせずに、文章や図に表すこと。
                                            ↑写真の出典:カホログ
 意見を共有するためには、皆に見えなくてはいけない。
 今までのように「自分のためにメモする」のではなく、「意見を目に見えるようにする」必要があるのだ。
 
 私はシリーズもののWSをやる時には、初回に「シャーペン、ボールペン禁止です。」と釘を刺す。
 最初は「なんだ?」みたいな反応ですが、自然と身に着くようだ。
 ちなみに私のお気に入りは、「三菱鉛筆水性ペンUNIプロッキー」と「無印良品の水性六角ツインペン」。


◇ワークショップのコツ、アーカイブ
   第01回:三種の神器
1)WS開始時
 第02回:募集から始まるWS 
 第03回:チーム編成
 第04回:グループは内輪で組まない
2)WS実施 
 第05回:シャーペン禁止
 第09回:模造紙の貼り方
posted by アサノ | 00:08 | ワークショップのノウハウ | comments(0) | trackbacks(0) |
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