経験デザインと食のエスノグラフィーを語る私的なブログ
アクティングアウト考(1)コトをスケッチするがヤバイ!
 ここ最近、以前書いたエントリーで「アクティングアウト考(1)コトをスケッチする」のPVがやたら増えている。
 このPVの伸び方は個人ではなさそうだし、かといって授業やなにかで大勢で見ているにしては日数が多い。
 

 3月の16日から始まって、本日4月12日も続いている。
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 2009年の8月に書いたもので、その後いろいろなところでも書いたり発表したりしてブラッシュアップされているので、今更これを読まれるのは本意では無い。
 5月に発刊される近代科学社「HCDライブラリー」でも、もう少し良くなったことを書いているのだが。。
 もうすぐなので、そちらを見て下さい。
posted by アサノ | 00:11 | 情報デザイン 用語集 | comments(0) | trackbacks(0) |
ストーリーボード
ストーリーボード:映画などの絵コンテのこと。広義に解釈すると、ユーザーが経験する事柄を文脈に沿った形で表現する、コトのスケッチ技法。様式は様々で、特に最近ではペーパープロトタイプとハイブリッドされた評価やUX創造の技法としても開発されている。

 体育の日、家のリビングで仕事をしていたら、後ろのテーブルで卒研のモックを作っていたカホちゃんが「デモ・ムービーとストーリーボード見て。」というので、見てみた。

 やっぱ美大生は絵に凝っちゃうんだよな。

 デモ・ムービーは良かった。
 会場で下手なアクティングアウトを見せられるよりは、きちんと作り込まれたものでユーザーの利用状況を理解させるのは良いことである。

 デモ・ムービーがあるなら「アクティビティ(コト)」はある訳だから、次は「インタラクション(モノ)」をどう表現するかだ。
 上段がインタフェースで、下段2つがインタフェースか。

 聞いたら、特に多摩美流では無いそうだ。
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 アプリの機能画面。
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 機能構造図。
 うちの学生さんも、このくらい自分でプロトタイプを作って検討してくれると良いのだが。
 いきなり作っちゃうんだよね。。

◇関連情報:ユーザー要件を引出すテクニックユースケースかストーリーボードか

◇多摩美情デ卒業研究制作公式ブログ:PARTYPARTY
posted by アサノ | 00:25 | 情報デザイン 用語集 | comments(0) | trackbacks(0) |
参加型デザイン手法:Exhibition in the dark(暗闇展覧会)
 

 もう終わってしまったが、面白そうな作品発表会が函館でありました。

■展覧会名:Exhibition in the dark(暗闇展覧会)
■日時:平成23年2月1日(火曜),15時から19時
■場所:函館市地域まちづくりセンター 2階 フリースペース 函館市末広町4番19号
■主催:公立はこだて未来大学大学院 メディアデザイン領域
■後援:インクルーシブ友の会
■URL:http://www.fun.ac.jp/~maq/exhibition/dark/index.htm

 「目の不自由な人達のためのコミュニケーションツールの提案」を、真っ暗な会場で触ることに体験する展覧会。
 情報デザインの世界でいうところの北欧から始まった「参加型デザインの手法」から発想したものらしい。
 その様子はこちらに詳しい

 参加型デザイン手法の授業をやっているのは以前は函館に拠点があった北大の渡辺保史さんが有名だし、未来大M2の名塚さんの研究も「参加型デザイン」だった。
 函館というのはそういう風土があるのかな。

※参加型デザイン手法
 1960年代にスカンジナビアで始められたデザイン手法。そのデザインがユーザーにとって有効か、使い易いかを探るために積極的にユーザーの参加を求める手法。
 元は社会システムのデザイン手法として行われていたが、近年ではソフトウェアや電子機器のスケッチやモックアップをユーザー自身に作ってもらったりするようになってきた。米国のリズ・サンダースの取り組みが有名。
 日本では、街おこしなどの手法として取り入れられており。仮想のペルソナがその街に来て行う行動を市民参加型で考えるといったワークショップが行われたりしている。
posted by アサノ | 00:18 | 情報デザイン 用語集 | comments(0) | trackbacks(0) |
目黒と六本木でフィールドノーツを学ぶ
 質的調査をする場合、ノート本体ではなく、そのデータを書き留めた文章ないしその内容を指して「フィールドノーツ」と呼ぶ。
 また現場で書くものをフィールドメモ。帰って来てから整理して清書したものをフィールドノーツと分けて考える。

 寒風吹きすさぶ日曜日、カホちゃんと一緒にフィールドワーク もとい!展覧会巡りに出かける。

 本日のテーマは「質的データをいかに記述するか」。
 まず向かったのは目黒大鳥神社並びの「目黒寄生虫館」。

 寄生虫学というのは典型的なフィールドワークの学問。

 ここには、その記述ノートが沢山ある。おお、凄いすごい。

 目黒駅方面に向かい、ギャラリーやさしい予感へ。

 Twitterで評判だったSFC加藤文俊先生のゼミ展「フィールドワーク展」を見る。

 受付にいた学生さんに許可を取って撮影。パネルの下に置いてあるハンドアウトを全部頂いてきました。

 フォトエッセイのようなフィールドノーツ。写真には写っていないが、推敲の軌跡次々と残すところが面白い。Vol:10とか赤の入った原稿が置いてある。

 頂いてきたハンドアウト類。次年度の新しい授業に夢が膨らむ。

 続いて場所を六本木森美術館に移して「医学と芸術展」を見る。当日はTwitterを見ていると、ほとんど同じコースを時間差で歩いている人がいて笑える。
 
 なぜこの展覧会がフィールドノーツと関係あるかというと。最近私はコトのスケッチだとかよく書いているが、人は昔から様々な事象(この展覧会ではメメントモリ:死を思え)を様々な形で記述しようと試みて来た。
 カホちゃんに考えて欲しかったのは、質的データは記述するための決まりは無くて、目に見えないコトを書き表そうとする執念なのだということ。

 最後は、スタバに行きたい彼女と、ビールが飲みたい私の確執でお互いに機嫌悪く帰りましたとさ・・・。

関連情報:
・多摩美吉橋先生のブログ
・東京都市大フクちゃんのブログ
・そのうち載るはず
posted by アサノ | 00:01 | 情報デザイン 用語集 | comments(0) | trackbacks(0) |
ブリコラージュ

 吉橋先生のブログにハーバード・ビジネス・レビュー別冊に「ブリコラージュ」とは何か:東京大学大学院 教授 小林康夫という記事が載っていると書いてあった。
 私はまだ読んでないのですが、丁度学校で「ブリコラージュ」について話したばかりなので、書いてみます。

 ブリコラージュとはフランス語で「器用仕事」という意味。日本では「日曜大工」みたいな訳し方をされているが、レヴィ=ストロースは、既にあるものを寄せ集めて、本来の用途とは違う別の用途のものを作り出す機知や創造性のことだ言った。
 また、そのブリコラージュをする人のことをブリコルールと呼び、設計が手戻りした時に、いつか何かの役に立つとおもって集めておいた道具と素材を、その変更に応じて組み立てていける職人だという。
 まさに現代の情報システムを構築する場合のアジャイル開発の事を言っているようだ。

 学校で話した話は、「いつか何かの役に立つとおもって集めておいた道具と素材を」というところが大切で。今君達の学びとは「今は役に立たないかもしれないが、いつかきっと何かの役に立つだろう」という予感において成立していることを忘れてはいけないという話だ。
 「今すぐ役に立つ」実学というのは、実は将来においてまったく役に立たないことの方が多いものなのだ。
 将来君達が直面する問題のほとんどが、過去にだれかが経験したものではなく、また専門的な解決方法すら考えられていないものの方が多いはずだ。教科書に答えは載っていないのである。
 その時に、君達はそれまで「きっと何かの役に立つとおもって集めておいた道具と素材を」をエンジニアリングして解決策を編み出さねばならない。それを「ブリコラージュ」という。道具と素材といってもプロダクツとは限らず、思考法や手法でもある。

 我々が思っているほど、降りかかる諸問題を解決する専門的な知識や技術など存在しない。自らブリコラージュを持って解決に立ち向かうしか手は無いものだ。その覚悟をした者だけに問題の解決はある。

◇内田樹先生も同じようなことを書いておられる:ブリコルールの心得

posted by アサノ | 00:31 | 情報デザイン 用語集 | comments(0) | trackbacks(0) |
リアルタイムドキュメンテーション

http://ids.c.fun.ac.jp/project/inp-act/?p=186

 以前ご紹介したシルバーウィーク中に函館であったワークショップ「inp-act」の報告書が公開されました。
 「リアルタイムドキュメンテーション」と言って、千葉工業大学の原田泰先生や同志社女子大学の上田信行先生が標榜されている、ワークショップの最中にリアルタイムで記録を記述してゆく手法です。

 東大の中原先生の定義によると。ドキュメントされたプロダクトは、
1)ワークショップの最後で参加者間で行われるリフレクション、あるいは、ワークショップ会場を出たあとに非参加者をまじえて実施されるリフレクションに役立てることができる
2)ワークショップ参加者の「お土産」として持ち帰ることができる
3)ワークショップのプロセスを記述したものとして、ワークショップのステークホルダーにアカウンタビリティを果たすときに利用できる

 という「気づき」や「振り返り」に役立つとのことです。WSが終わった途端に、記録が貰えるっていいですよね。楽しそう♪

 8月末に行われた「第4回情報デザインフォーラム」で原田先生からお話を聞きました。

 「すげえな!」と思っていたら、もうワークショップで実践されているのを聞いて、またビックリ。
 これから情報デザイン系のワークショップの定番になりそうな予感が・・・。
posted by アサノ | 00:18 | 情報デザイン 用語集 | comments(0) | trackbacks(0) |
Human-centered design lifecycle process

 IASDR 2009のスライドを作成中。「HCDプロセス図」の英訳が分からなかったので作ってみた。
 「シャッフルディスカッション」と「アクティングアウト」のプロセス上のタイミングを表しています。

 大会プログラムが連休直前に事務局から送られて来た。私の発表は10月21日(水)13時からでした。「Creative Design Methods 」というセッションらしい。
 http://iasdr2009.org/src/IASDR_program.xls

※別件:カミヒラ先生のTwitter経由
 石井 遼介さんのIDEO×東京大学のワークショップをまとめました。これは凄い!IDEOでもアクティングアウトをやるのですね。
posted by アサノ | 00:09 | 情報デザイン 用語集 | comments(0) | trackbacks(0) |
アクティングアウト考(4) まとめ

 4回に渡って「アクティングアウト」について書いてきたが、今回がまとめになる。

4.公開されたアクティングアウト
 アクティングアウトという手法は、過去にあまりその技術を公開されることなく、各学校や企業において独自の評価手法として扱われてきた。
 過去の論文を調べてみたが、一番具体的であったのは、日本デザイン学会2002年度第49回研究発表大会(和歌山大学)で富士ゼロックスの蓮池さん達が発表した「演劇技法を活用したユーザー参加型の使用状況プロトタイピング方法」と武蔵野美術大学下村千早さんらによる「情報デザイン教育の試み:アクティングアウト(1)」とである。また同学会で多摩美術大学の須永先生、植村先生らによる「数学モデルにもとづく知識オブジェクトの表現可能性」が発表されている。この年は、なぜかアクティングアウトに関する発表が相次いだが、その後は学会発表からパッタリ姿を消すことになる。
 次に学会で発表されたのは、日本デザイン学会2009年度第56回研究発表大会(名古屋市立大学)において千葉工業大学の山崎先生の「ユーザーセンタード・デザインの展開(5)ペーパープロトタイピングの活用」においてである。

 演劇技法を活用したユーザー参加型の使用状況プロトタイピング方法

 情報デザイン教育の試み:アクティング・アウト(1)

5.分析
 ここで分かるのが、下村や須永、植村らのアクティングアウトは「人間がシステムの部分を担当してタスクプロセスを演じる」人工物の振る舞い型アクティングアウトであり、蓮池、山崎らのものは「プロトタイピングとしての寸劇」シミュレーション型のアクティングアウトである。

 今まで検証してきた種類別のアクティングアウトによって得られる視点を整理してみた。

 アクティングアウトの種類

 得られる気づきの視点

  人工物の振る舞い  人工物
  ユーザ再現  ユーザ
 シミュレーション&オズの魔法使い  ユーザ・人工物・オーディエンス
  プレゼンテーション  オーディエンス
 当初アクティングアウトが紹介され使い始められた時期には「人工物の振る舞い型アクティングアウト」が主流であったが、徐々にHCDプロセスの導入と同期して「シミュレーション型アクティングアウト」が行われるようになってきた。
 「シミュレーション型アクティングアウト」の方が、上記表で見ても分かるように、得られる気づきの視点が多く評価手法として使い勝手が良いのであろう。

6.まとめ
1)アクティングアウトとは、賑やかで楽しいプレゼンテーション技法と思われがちであるが、開発の様々な段階において、非常に有効な評価方法と考えられる。
2)特に「シミュレーション型アクティングアウト」は、今後ペーパープロトタイプや、フィジカルコンピューティングによるラピッドプロトタイピングとの併用による評価手法として深耕が期待される。
posted by アサノ | 00:06 | 情報デザイン 用語集 | comments(0) | trackbacks(0) |
アクティングアウト考(3) 種類と特徴

 昨日の「種類と特徴」の続きです。

3)シミュレーション
 HCDプロセスでは「設計による解決案の作成」の段階において、製品やサービスのプロトタイピングを行い小刻みに形成的評価を行うことを推奨している。
 更にアクティングアウトを加え、ユーザがその製品やサービスを使用するコンテキストを表現することで更に精度の高い評価を行うことが出来ると考えられる。

 ただし、プロトタイプがしっかり出来ている場合は容易であるが、インタフェースがまだ簡単なペーパープロトタイプの場合は、人工物を担当する人間と、演技をする人間を分ける「オズの魔法使い」という手法を使うことにより評価が行い易くなる。

 これにより「シミュレーション」のアクティングアウトは、「ユーザの視点」と「人工物の視点」及び「オーディエンスの視点」を持つことが出来るようになる。
 このペーパープロトタイピングとの複合的な手法により、アクティングアウトというものがHCDプロセスにおける非常に有効な評価手法として確立される可能性が生まれてきた。

 コツとしては、人工物を扱う人間と演技をする人間の位置を少し離した方が良い。(これは悪い例)

 演技する人間は人工物には触らないこと。人工物役は言葉を発してはいけない。人工物に徹して、なりきることによりタスクプロセスの問題を発見する。

 演ずる場合に人工物が必要であれば、別途実物大のものを用意する。
 また、オーディエンスに示すためのプロトタイプは大きめに作り分かりやすくする。

 この写真は、画面左側でFLASHで作ったラピッドプロトタイプを投影しながら、右側でそのシーンの演技をしているところである。

4)プレゼンテーション
 アクティングアウトの種類の最後は、「プレゼンテーション」である。「シミュレーション」との違いは、製品やサービスが完成した時点で、その成果を「総括的評価」を目的として行う。

 新たな製品やサービスを開発する際には、ユーザの特性や他の人間との関係、他の人工物との係わり合いなど全てのコンテクストを総合的に勘案されなくてはならない。
 そういった意味では、1個の完成した製品を眺めて見ても、そのユーザが体験するコンテキストは理解されがたい。アクティングアウトは、ユーザの行動を文脈に沿って示すことができるため、オーディエンスの理解を得られ易いと考えられる。

 「プレゼンテーション」のアクティングアウトの見本は「ジャパネットたかた」のテレビショッピングである。商品のスペックを連呼するのではなく、そのものが生み出すベネフィットをユーザの立場に立って演じて見せている。
 例えばビデオカメラであれば「何万画素である、何時間撮れる」ではなく、「運動会で撮った映像を、夜の家族団らんで観ると家族の絆がより強くハッピーになる。」といったコンテキストで表現するのである。これこそ、プレゼンテーションにおけるアクティングアウトの見本である。

 またオーディエンスからの視点はどうかというと。日本デザイン学会第54回研究発表大会に富士ゼロックスの平野氏らが発表した「ワーク観察とプロトタイピングを通じたドキュメントワーク環境のデザイン」では。

スキットを通じて、壁面にドキュメントを掲示するのが自然で効果的な作法であるという議論が導かれた。この過程で、打ち合わせの参加者全員が無理のない動作や姿勢で視点を共有できることがこのシーンにおける根本的な要求のひとつであり、ドキュメントのコンテンツに対して客観的な評価を下すとき、人は少し離れた位置からそれを見ようとする行動パターンを持つことが確認できた。

 との報告があり、視点の共有が重要との見解を示した。

 視点の共有とは、寺沢先生の言うところの「ジョイント・アテンション」にあたり。一人で見るよりも、複数の人間が同一の対象を見ることにより「相互理解」が起きるというものである。アクティングアウトを観たオーディエンスは、リフレクションを積極的にした方が良いということになる。前の写真のネットイヤーグループ宮村さん、コメントありがとうございます。

△アクティングアウト考(4)まとめに続く

posted by アサノ | 00:28 | 情報デザイン 用語集 | comments(0) | trackbacks(0) |
アクティングアウト考(2) 種類と特徴


3.アクティングアウトの種類と特徴

 一言でアクティングアウトと言っても、その行われるタイミングによって役割が変わってくるものである。行われるタイミングを人間中心設計(HCD)プロセスに則って説明する。
人間中心設計プロセス
アクティングアウトの種類
利用状況の把握と明示
(ユーザ調査)
・人工物の振る舞い
・ユーザ再現
設計による解決案の作成
(プロトタイプの作成)
・シミュレーション
要求事項に対する設計の評価
(ユーザ評価)
・プレゼンテーション
 利用状況の把握と明示(ユーザ調査のフェーズ)の段階では、2種類の視点が求められる。「人工物の視点」と「ユーザの視点」である。

1)人工物の振る舞い
 まず人工物側の視点であるが、MIT メディアラボでジョン前田らが行った「Human-Powered Computing Experiment」のように、人間がコンピュータの様々なハードやソフトの動く様子を演じることにより、新しい仕組みのアイディアを得るというアクティングアウトがある。
 古くは私の知る限りでは、2000年に多摩美術大学の須永剛司先生によって有志に指導された記録がNTTコミュニケーションズ大和田龍夫さんのサイトに残されている。
NTTコミュニケーションズ大和田龍夫さんのサイトより引用
 現在は多摩美術大学情報デザイン学科で植村朋弘先生が取り組まれている授業がある。私は直接は見たことが無いのだが、寝ている学生の横で、デジタル時計に扮した学生が「どのような間隔や音程のベル音を出すことによって起床させるか。」を演じているらしい。
植村先生の授業「シナリオデザイン」
 また、同志社女子大学の上田信行先生や公立はこだて未来大学の寺沢秀雄先生らも実践されている。私はこのような「人工物の振る舞い」アクティングアウトは経験したことが無いのでこれ以上の言及は避けますが。なりきって演じることによる「気づき」に主眼が置かれ、オーディエンスからのフィードバックというものはあまり目的として考えられていないようである。

2)ユーザ再現
 このような開発の上流工程で行われるアクティングアウトは、オーディエンスからの指摘や発見を目的とするよりは、自ら演ずることによる「気づき」に主眼が置かれる。次に解説する、ユーザの視点である「ユーザ再現」も、演ずることによる「気づき」が目的である。

 開発の上流工程において仕様書しかない段階で、インターフェイスやユーザの振る舞いを試行してみる技術に「認知的ウォークスルー法」がある。「ウォークスルー」とは芝居の立ち稽古の事だと棚橋さんが言っていた。要するに、これから開発する機器やサービスを使用した際のユーザの振る舞いをブレーンストーミングで試してみることを指す。

 アクティングアウトの「ユーザ再現」も、同じように開発中の機器やサービスを使用した時のユーザの振る舞いを演じてみて、そこに予見される問題や改善点を探るのが目的となる。まさに立ち稽古である。

 写真は、留学生に学生食堂の使い方を教える言語に依存しないサービスを考えるための「ユーザ再現」アクティングアウトを行っているところである。

 このアクティングアウトの記述は、このようなダイアグラムになる。これもコト(サービス)のスケッチである。

 このユーザ再現のアクティングアウトは、本来はフィールドワークとして本当のユーザを観察する方が正確なデータが採れる訳であるが。まだこの世の中に存在しない機器やサービスの使用状況を試してみるのには、開発者自らが演じる他無いのである。逆説的に言えば、既存の機器やサービスであるなら、出来る限り本当のユーザの観察を行うべきであろう。

 この「ユーザ再現」のアクティングアウトは、教育メソッドとして取り組まれているというよりは、開発者が無意識のうちに行っているという方が正しいかもしれない。しかし、意識して取り組むことにより、認知的ウォークスルー法の記述法を取り入れるなど新しい手法開発の余地があるように思われる。


△アクティングアウト考(3) 種類と特徴△紡海。
posted by アサノ | 00:13 | 情報デザイン 用語集 | comments(1) | trackbacks(0) |
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