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アクティングアウト考(3) 種類と特徴

 昨日の「種類と特徴」の続きです。

3)シミュレーション
 HCDプロセスでは「設計による解決案の作成」の段階において、製品やサービスのプロトタイピングを行い小刻みに形成的評価を行うことを推奨している。
 更にアクティングアウトを加え、ユーザがその製品やサービスを使用するコンテキストを表現することで更に精度の高い評価を行うことが出来ると考えられる。

 ただし、プロトタイプがしっかり出来ている場合は容易であるが、インタフェースがまだ簡単なペーパープロトタイプの場合は、人工物を担当する人間と、演技をする人間を分ける「オズの魔法使い」という手法を使うことにより評価が行い易くなる。

 これにより「シミュレーション」のアクティングアウトは、「ユーザの視点」と「人工物の視点」及び「オーディエンスの視点」を持つことが出来るようになる。
 このペーパープロトタイピングとの複合的な手法により、アクティングアウトというものがHCDプロセスにおける非常に有効な評価手法として確立される可能性が生まれてきた。

 コツとしては、人工物を扱う人間と演技をする人間の位置を少し離した方が良い。(これは悪い例)

 演技する人間は人工物には触らないこと。人工物役は言葉を発してはいけない。人工物に徹して、なりきることによりタスクプロセスの問題を発見する。

 演ずる場合に人工物が必要であれば、別途実物大のものを用意する。
 また、オーディエンスに示すためのプロトタイプは大きめに作り分かりやすくする。

 この写真は、画面左側でFLASHで作ったラピッドプロトタイプを投影しながら、右側でそのシーンの演技をしているところである。

4)プレゼンテーション
 アクティングアウトの種類の最後は、「プレゼンテーション」である。「シミュレーション」との違いは、製品やサービスが完成した時点で、その成果を「総括的評価」を目的として行う。

 新たな製品やサービスを開発する際には、ユーザの特性や他の人間との関係、他の人工物との係わり合いなど全てのコンテクストを総合的に勘案されなくてはならない。
 そういった意味では、1個の完成した製品を眺めて見ても、そのユーザが体験するコンテキストは理解されがたい。アクティングアウトは、ユーザの行動を文脈に沿って示すことができるため、オーディエンスの理解を得られ易いと考えられる。

 「プレゼンテーション」のアクティングアウトの見本は「ジャパネットたかた」のテレビショッピングである。商品のスペックを連呼するのではなく、そのものが生み出すベネフィットをユーザの立場に立って演じて見せている。
 例えばビデオカメラであれば「何万画素である、何時間撮れる」ではなく、「運動会で撮った映像を、夜の家族団らんで観ると家族の絆がより強くハッピーになる。」といったコンテキストで表現するのである。これこそ、プレゼンテーションにおけるアクティングアウトの見本である。

 またオーディエンスからの視点はどうかというと。日本デザイン学会第54回研究発表大会に富士ゼロックスの平野氏らが発表した「ワーク観察とプロトタイピングを通じたドキュメントワーク環境のデザイン」では。

スキットを通じて、壁面にドキュメントを掲示するのが自然で効果的な作法であるという議論が導かれた。この過程で、打ち合わせの参加者全員が無理のない動作や姿勢で視点を共有できることがこのシーンにおける根本的な要求のひとつであり、ドキュメントのコンテンツに対して客観的な評価を下すとき、人は少し離れた位置からそれを見ようとする行動パターンを持つことが確認できた。

 との報告があり、視点の共有が重要との見解を示した。

 視点の共有とは、寺沢先生の言うところの「ジョイント・アテンション」にあたり。一人で見るよりも、複数の人間が同一の対象を見ることにより「相互理解」が起きるというものである。アクティングアウトを観たオーディエンスは、リフレクションを積極的にした方が良いということになる。前の写真のネットイヤーグループ宮村さん、コメントありがとうございます。

△アクティングアウト考(4)まとめに続く

posted by アサノ | 00:28 | 情報デザイン 用語集 | comments(0) | trackbacks(0) |
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