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アクティングアウト考(4) まとめ

 4回に渡って「アクティングアウト」について書いてきたが、今回がまとめになる。

4.公開されたアクティングアウト
 アクティングアウトという手法は、過去にあまりその技術を公開されることなく、各学校や企業において独自の評価手法として扱われてきた。
 過去の論文を調べてみたが、一番具体的であったのは、日本デザイン学会2002年度第49回研究発表大会(和歌山大学)で富士ゼロックスの蓮池さん達が発表した「演劇技法を活用したユーザー参加型の使用状況プロトタイピング方法」と武蔵野美術大学下村千早さんらによる「情報デザイン教育の試み:アクティングアウト(1)」とである。また同学会で多摩美術大学の須永先生、植村先生らによる「数学モデルにもとづく知識オブジェクトの表現可能性」が発表されている。この年は、なぜかアクティングアウトに関する発表が相次いだが、その後は学会発表からパッタリ姿を消すことになる。
 次に学会で発表されたのは、日本デザイン学会2009年度第56回研究発表大会(名古屋市立大学)において千葉工業大学の山崎先生の「ユーザーセンタード・デザインの展開(5)ペーパープロトタイピングの活用」においてである。

 演劇技法を活用したユーザー参加型の使用状況プロトタイピング方法

 情報デザイン教育の試み:アクティング・アウト(1)

5.分析
 ここで分かるのが、下村や須永、植村らのアクティングアウトは「人間がシステムの部分を担当してタスクプロセスを演じる」人工物の振る舞い型アクティングアウトであり、蓮池、山崎らのものは「プロトタイピングとしての寸劇」シミュレーション型のアクティングアウトである。

 今まで検証してきた種類別のアクティングアウトによって得られる視点を整理してみた。

 アクティングアウトの種類

 得られる気づきの視点

  人工物の振る舞い  人工物
  ユーザ再現  ユーザ
 シミュレーション&オズの魔法使い  ユーザ・人工物・オーディエンス
  プレゼンテーション  オーディエンス
 当初アクティングアウトが紹介され使い始められた時期には「人工物の振る舞い型アクティングアウト」が主流であったが、徐々にHCDプロセスの導入と同期して「シミュレーション型アクティングアウト」が行われるようになってきた。
 「シミュレーション型アクティングアウト」の方が、上記表で見ても分かるように、得られる気づきの視点が多く評価手法として使い勝手が良いのであろう。

6.まとめ
1)アクティングアウトとは、賑やかで楽しいプレゼンテーション技法と思われがちであるが、開発の様々な段階において、非常に有効な評価方法と考えられる。
2)特に「シミュレーション型アクティングアウト」は、今後ペーパープロトタイプや、フィジカルコンピューティングによるラピッドプロトタイピングとの併用による評価手法として深耕が期待される。
posted by アサノ | 00:06 | 情報デザイン 用語集 | comments(0) | trackbacks(0) |
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