経験デザインとエスノグラフィを語る私的なブログ
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多摩美 情報デザインコース後期末展に行ってきました

 先日ご案内した多摩美情報デザインコース後期末展に行ってきました。

 11:00からは、須永先生・吉橋先生の「サービスデザイン」の公開プレゼン。

 これ面白かった、モックアップを組み合わせるハンバーガーのノンバーバル注文システム。そこは3年生なりではあるが、ある種の新しいインタフェースの未来を示唆していると思う。
 今の時点では、他の講評者からも指摘があったが「サービスの継続性」を考えると、3回ぐらいでユーザが飽きるかも。
 国際空港や万博会場のような、初見の外人旅行者向けのレストランには面白いかもしれないが、それをハンバーガーというグローバルな食品ではなく、トッピングの多いドメスティックな店舗のサービスで考えて欲しかったよ。

 これは一番気に入った「紅茶を飲みながら小説を読むサービス」。テーマをあまり拡散させずに、上手くサービスとデザインを融合させており、見る者に次への発展をイメージさせるところが秀逸。

 途中Macの調子が悪くなり、調整中に吉橋先生がプロセスの説明。
 前段階の調査とその記述法の方が興味アリ。冊子にしてくれることを希望!

 気がついたのは、多摩美はインタビューよりは観察重視なこと。これは校風か?

 流石多摩美、デザインを楽しんでいる雰囲気がムンムン。Outputのクオリティが高いのはいいよね〜。

 Webサービスには短期的な初見のユーザを対象にしたものと、継続的に使うヘビーユーザを対象にしたものがある。たとえば前者は「ぐるなび」であり、後者「食べログ」だ。
 前者は初見のユーザを導くユーザフレンドリーなナビゲーションが不可欠で、後者はある程度の学習を終えたユーザを対象とするためにショートカットとそこから発展する検索システムが必要になる。
 ユーザがいきなり「野菜炒めが食べたい」と思ってレシピサイトを見る可能性は低いものだ。そこで「野菜炒め」にたどり着く導線のユニークさが大切なのだと思う。
 最後にプレゼンした、スーパーのチラシからレシピに至るサービスは、見た目は地味だがヘビーユーザ向けとしては素晴らしかったと思う。
 人間の記憶は、再生か再認によって引き出される。再生は完全(連想的)に覚えていることだから、学生ユーザなどは知識としてのメニューが少ない場合は命令入力出来る選択肢が極端に少なくなる。それに対して再認は、ある条件や既に書かれたメニューを見ることで記憶のトリガーが引かれるから思い出しやすい。冷蔵庫に残っている鶏肉と長ネギを入力すると「油淋鶏」が出てくるというようなGUIがまずは必要かと思う作品がいくつかはあったかな。
 そう思うと「クックパッド」は良く出来てるね。

 14:30より森川先生の「ウェブ構築応用」の公開講評会を見る。

 僕は2005年からウェブの授業やっているのですが、今まではウェブ標準技術取得が中心で、実装に力入れてましたから。今回「実装は後回し」的な授業をやりましたが、結果、そっちの方がよかったと思っています。ご本人Twitter談

 オックーくんプレゼン中

 他の先生方の講評会をのぞく。永原先生の講評会はかなり緊張感あり。千葉工大のカオリちゃんが見てました。

 宮崎先生のゼミ講評会

 矢野先生の「知覚とデザイン」。この授業は今回一番面白かった。コンピュータで作った作品だけではなく、体を使った作業やグループワークは大切だよね。これぞブリコラージュ

 カホちゃん苦戦中。(笑)

 「地上10mから自分達の写真を撮れ」という課題。彼女達は熱気球でやったらしいが、他には巨大なゴミ袋風船やペットボトルロケット、シーソーで打ち上げるものもあり。(笑)最後には全チーム写真を撮ったそうだ。こういう教育こそ多摩美らしい。
posted by アサノ | 11:36 | 情報デザイン 授業事例 | comments(6) | trackbacks(1) |
コメント
情報デザインの立体的プレゼン、いいですね。
社内で業務プレゼンをしても、インターフェースの業務報告は画面の中しかないので、お金かけてモックアップを作っているハードデザインの報告に比べてインパクトとか疑似体験感覚が希薄なのが悩みでした。
なんだかいいヒントをいただいた感じです。
ありがとうございました。
2010/01/14 18:51 by アリヤ
アリヤさん
ご無沙汰しております。
先日澤田さんから「ペルソナ教えてよ。」と言われて面食らいました。
2010/01/14 21:02 by アサノ
多摩美の吉橋です。

インタビューもやっていますが、まず初めにやるのは「観察」です。それは、学生自身の「体験(その場に行ってみること)」と「気付き(発見し、感じること)」を重視しているからです。

自分で何かを見つけ、興味を持つことや疑問を持つことが、多摩美の学生がデザインを考え、作品を作るときの強い動機やきっかけになっています。デザインする学生自身が感じたことが、創造のスタートになります。
想定ユーザーへのインタビューや質問、アンケートなど、いわゆる「調査」をはじめにやることは、僕の授業ではほとんどありません。

ちなみに、「観察好き」なのは校風というよりも「よしはし風」です。さかのぼれば、千葉大・第一講座(当時)で伝授された「教え」だと思います。(^^)
2010/01/14 23:48 by よしはし
なるほど!
だから「ユーザ」よりも「自分が感じた・思った」という文脈が多いのですね。
昨今何かというと「ユーザが・・・」という風潮がありますが、まずは自分の「気づき」が一番大切だ。
それが無いと「対象ユーザ」も拡散しちゃうものね。
2010/01/15 14:21 by アサノ
「自分の気付き」のままで最後まで行ってしまうと、ひとりよがりのデザイン(私が好きだから良い)になってしまいます。(^^;
デザインプロセスの「どこか」で、他者の視点や(ユーザーの視点、利用者の視点)を意識させる必要がありますが、そのタイミングをどこにするかが、難しいところですね。

「サービスデザイン」の場合は、プロトタイピングの段階でそれを行ないました。各自の案について、それぞれクラスの中から「利用者役(代表的なユーザー)」を募ってサービスを疑似的に受けてもらい、意見をもらうようにしてみました。
2010/01/16 16:44 by よしはし
アサノ先生、よしはし先生。
ヒントをいろいろありがとうございます。
社内の人たちを巻き込むには兎に角たのしくやることですよね。
自分のために、人のために。
演劇部で劇あをしていたときに「役を被った」行為が
ユーザーのキモチを自分に被せるのと似ていると思います。

エクスペリエンスデザイナーは、ガラスの仮面を読むといいのでは、といつも言っているのですが、今のところ、支持者がいません。
2010/01/17 19:04 by アリヤ
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2010/01/14 00:48
1月9日の展示と公開プレゼン(11:00〜)の様子を報告します。 上の写真2点は
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