ワークショップにおけるコツの研究(8)壁に向かってブレストしよう
2013.02.25 Monday
ワークショップでよく見かける情景に、チーム全員で座ったまま腕を組んでウンウン考えている姿がある。
(写真はイメージ画像です、ご本人達の名誉のために。)
ものを考えるというのは、頭を使う事では無く、手を動かして作業をすることだ。
手が動かなくなった時点で「思考停止」していると思って、次のアクションを考えよう。
私は学生に「動かした手に神は宿る」と教えている。w
手を使って行う作業の最も単純なことは、自分の頭の中身を外に出すことだ。
頭の中身を「話す」は「離す」だという、いっそカードに書きだしてしまおう。
自分の頭の中身を外に出すことを認知心理学用語で「外化」という。
紙では無くモックアップを作って、それを触りながら議論するのも良い。
最近では資料を机の上に広げるよりも、床や壁に貼って皆がそれを見ながらブレストすることによって意見の交換が活性化することが分かってきた。
ブレストの過程において、意見が属人性を持たず「そこにある意見」として公正公平に扱われ易いからだろう。
なかなか顔を合わせた状態でブレストの4つのルールを守ることは難しいものだ。
だいいち、ブレストのルールを素養として知っているのはデザイナーだけで、エンジニアには知らない人も多い。w
論文でも、2007年日本デザイン学会で富士ゼロックス株式会社ヒューマンインタフェースデザイン開発部による「ワーク観察とプロトタイピングを通じたドキュメントワーク環境のデザイン」で報告されている。
ホワイトボードはスペースが限られて思考のダイナミズムが阻害されるようで、私はあまり好きではない。
むしろ壁とか窓に貼ったほうが、スペースの制約なく議論が発展し易いと思う。
よくアメリカなんかの刑事もの映画で、壁一面に容疑者の写真や現場の地図、様々な資料を貼りつけて熟考するシーンがあるでしょ。
一覧性があるというのも大切な事だ。
よくアメリカなんかの刑事もの映画で、壁一面に容疑者の写真や現場の地図、様々な資料を貼りつけて熟考するシーンがあるでしょ。
一覧性があるというのも大切な事だ。
ということで、ワークショップを開く場合は出来るだけ壁の多い所をリクエストすることにしている。
■ワークショップ以後の効果
実務でいえば長時間に渡る推敲も可能だということは重要である。例えばブレストの翌日、一人でコーヒーを飲みながらカードを動かしてみるとか。
また、この壁のアウトプットを時系列で撮影して議事録代わりにすることがある。
ネットで共有して参加者がコメントを入れることで、非参加者にもリアルタイムに思考のプロセスが理解出来るものだ。
日産の議事録(V-up)もこの方式だ。
我ら情報デザインフォーラムでも、書籍の編集会議のブレストと議事録はこうしている。
◇ワークショップのコツ、アーカイブ
第01回:三種の神器
2)WS実施
第05回:シャーペン禁止
第08回:壁に向かってブレストしよう
第09回:模造紙の貼り方
第11回:コンセプトが混迷したら