ワークショップにおけるコツの研究(11)コンセプトが混迷したら
2013.06.27 Thursday
ワークショップの最中に、コンセプトが決まらずににっちもさっちも行かなくなる事がある。
そういう時に試して欲しい技術に「シャッフルディスカッション」がある。
■シャッフルディスカッション
1)締め切り時間を決めて、グループ内でコンセプトを大まかに決める。
2)決めたコンセプトを、グループのメンバー誰もが他人に説明できるように理解する
3)時間が来たら、グループより1名が他のグループに行き、他のグループから1名を迎え入れる。
4) 他のグループから来た人間に対して、グループ内の1名が自分達が「やろうとしている事」を5分間説明する。
出来るだけコンセプトシートやスケッチなどを使い、具体的に説明する。
5)他のグループから来た人間は、その説明に対して質問やアドバイスを5分間行う。
6)説明をした グループの人間は、質問に対して答えたり、アドバイスに対して反対に質問をする。
7 )時間がきたら、また人間を入れ替えて、同じ事を行う。 注意点としては
※セッションごとの説明や回答は必ず1名で行う。グループのメンバー全員でワイワイやらず、しっかりと観察に回る。
※セッションが変わったら、また違うメンバーが1人で説明・回答を行い、他のメンバーは観察する。
8)数セッション(10分×2〜3回)終わったら、チームのメンバーで、もう一度リフレクションする。
大抵の場合は、コンセプトが決まっていないのに情報だけが過多になり思考が停止していることが多い。
教員やファシリテーターのアドバイスですら、ますます未消化な情報が増えるだけで、混乱に拍車をかけることになる。
就職活動で自分がやりたいことが決まらずに何社も受けて落ち続ける学生に似ている。
最初に大まかで良いから暫定版コンセプトを決めてしまえば、それからの修正は容易である。
まずは強制的に暫定版コンセプトを決めさせてしまうのが「シャッフルディスカッション」である。
今は使われているか分からないが、かなり前に武蔵工業大学(現:東京都市大学)の小池研究室でワークショップ時のファシリテーションの技術として始まった。
草の根的な発生であるが、私がまとめて学会発表した経緯がある。
経験的には、結構効き目があるものだ。
■シャッフルディスカッションを行うと、以下の効果がある。
1)強制的に時間を決めてコンセプトを他人に説明できるレベルに落とすことにより、長時間悩むという非生産的な行為を抑制できる。
2 )他のチームのメンバーから、違う視点のアドバイスを受けることにより他人の目線を得られる。
3 )人に説明することにより、思いがけない気づきがある。
4)煮詰まってしまった議論がブレイクスルーするきっかけとなる。
◇関連情報:
◇ワークショップのコツ、アーカイブ
第01回:三種の神器
2)WS実施
第05回:シャーペン禁止
第08回:壁に向かってブレストしよう
第09回:模造紙の貼り方
第11回:コンセプトが混迷したら