ワークショップにおけるコツの研究(12)キャズムを越えろ!
2014.06.24 Tuesday
先般のHCD-Netフォーラムで、樽本さんがポスター発表でとても興味深い話をされていた。
これを「デザイナーの大ジャンプ」と言って墜落する可能性が高い。
今まで誰も言って来なかった、HCDの調査・分析と設計の間には「キャズム(深い溝)」があるという話。
僕は、これをデザイナーのジャンプと呼んできたので、非常に良く分かる。
同じ調査と分析に手間をかけても、デザイナーによって創るものは違うよね。
デザイナーは調査や分析を疎かにして、目についた事象だけで解決案を作ってしまう。
これを「デザイナーの大ジャンプ」と言って墜落する可能性が高い。
以前、寺沢先生が階段の図を描いて、同じようなことを説明していた記憶がある。
出来るだけ調査や分析でキャズムの幅を狭くしてあげなくてはいけないのだ。
以前、ある街で参加型のフィールドワークを行った時に。(写真はイメージです)
ほとんどの参加者は「今まで気がつかなかった事に気がついた。」と回答したのに対して。
「いつも見ているものと変わらず、なんの発見も無くつまらなかった。」と答えた参加者がいた。
これなんかは、結局人と同じものを見ても、「問い」が立たない為にソリューションにつながるインサイトを得られていない例だ。
この調査。・分析からソリューションの提案・設計にジャンプする際に「え〜、そんなんだったら、何もあんなに何人ものユーザーを観察しなくても分かるじゃん。」みたいな提案は多いよね。
たとえば、私がよくやる「ゼリーのオブザベーションWS」などでも、蓋が固いので開け易くしましたという提案が多いが。
3人も4人も食べさせて、作業プロセスを緻密に観察しなくとも、自分で一度食べれば分かることを「問題」だと思って、そこから思考停止してしまうのはもったいない。
この辺りは、1回や2回のワークショップで養えるものではなく、個人の経験にもよることになるのだが。
出来る限り、調査と分析を緻密に行い「インサイト(洞察)」を得ることが「問題発見」への近道になることを覚えよう。
コツは「モノ」ではなく「ヒト」を視ることだと思うよ。
◇ワークショップのコツ、アーカイブ
第01回:三種の神器
2)WS実施
第05回:シャーペン禁止
第08回:壁に向かってブレストしよう
第09回:模造紙の貼り方
第11回:コンセプトが混迷したら
第12回:キャズムを越えろ!
第13回:学びのコストの勘違い