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症状と病理

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 最近、HCDやUXの調査について、目に見える「症状」ではなく、目に見えない本質的な「問題」を定義することが大切だという話をよくする。先日、そんな体験をしたので書いてみます。

 ここ数ヶ月間、日に何度か咳が止まらなくなるようになって困っていた。

 それを忙しさにかまけて病院にいくのを億劫がっていたら、どうも重篤化してしまったらしい。
 やむなく、買い物ついでに近所の内科病院に行って来た。
 診察室に入ったらお医者さまから「咳は出ますか?」「痰はからみますか?」「熱はありますか?」などの問診と聴診器による聴診があり。
 処方箋を頂いて、調剤薬局に行って薬を受け取って帰って来たら大爆笑してしまった。
 薬が沢山入っていて、それぞれに「咳を抑える」「痰を切る」「熱を下げる」といったラベルがついていたのである。
 なぜ笑ったのかというと、それは単に問診から得た症状に対する対症療法に過ぎなかったからだ。
 「薬で胃は荒れたことはありませんか?」という質問が無かったので、胃薬が入っておらず胃を荒らしたというオチまであった。

 HCDでも「ユーザーを理解する」と言ってインタビューをする人がいるが。
 インタビューでは回顧的に「何か困ったことはありますか?」と症状を聴くのではなく、実は目に見えない誰もが気づいていない問題を定義することが大切なのである。
 お医者さまも、問診で得た症状だけでは無く、レントゲンや採血などの検査データや内視鏡などの観察データを含めた診療を通して総合的に病理を定義することが求められるのではないだろうか。   
 医療でもHCDでも、熱があるから熱を下げるといった症状に対する単純な療法(施策)ではなく本質的な病理(問題)を定義することにより、患者(ユーザー或いはビジネス側)の文脈に合わせた施策が選べるのである。
 例えば癌であっても、そのステージや患者の意思によって、抗がん剤治療もあれば、放射線治療もあるし手術もある。
 またイノベーティブな新しい治療法もあるかもしれない。
 HCDでも、問題が定義できれば、自ずと案件や開発の文脈により施策は選べることになる。    

 ここで教訓となるのは、ペルソナを作る場合でも、インタビューからユーザー像を作ることに注力してしまい過ぎないで、行動観察などの質的やログ解析のような量的ら複数出所のデータによるトライアンギュレーション(三角測量)により、利用シーンとそこに埋め込まれた問題を定義すること大切だということである。
 我々が普段見ているものは症状であり、その裏に隠れた問題を見つける或いは創るのが我々HCD専門家の仕事だと思う。  
 結局、再度専門的な呼吸器科に通うことになり、確かに検査が多い。(笑)

 

◇HCDコラム:「症状と病理」2016年6月30日
 

posted by アサノ | 06:14 | HCD-Net活動 | comments(0) | trackbacks(0) |
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