経験デザインとエスノグラフィを語る私的なブログ
<< 札幌 最終日 | TOP | 情報デザインC 第6回目 中間発表会 >>
アトリエ型の授業

 先日、学園の保育校の校長先生と高校から研修に来ておられる先生が、本校を訪れられました。学園内の各校を視察されているとのことです。私がご案内をして、他校との違いなどを説明しました。
 特に話したのが、一般的に専門学校の社会的役割というものが「資格を取る」というところに重きが置かれているけど、うちはデザイナーに国家資格があるわけではないので、そのあたりの教育目標と手法の話かな。

 専門学校は「即戦力になる実学」というのが売りな訳ですね。「看護師」「保育士」「自動車整備士」「理学療法士」「基本情報技術者」「美容師」などなど・・・。

 でもデザインの学校って、何するの?
 社会人基礎力>デザインスキル なのだと思ってます。

 私のところで教えているのは「デザインを通した人間教育」です。人間さえ出来てしまえば、自分で勉強もするし、デザインもコツさえ分かれば出来る。私のゼミでも、プロトコル分析で飯が食える人間を養成しているのではなく、それを学び研究することで「自分が正しいと思っていることは、他人もそう思うとは限らない。」という真理を体で覚えるためにやっているのです。それが分かった人間は、何をやらせてもそこそこやります。

話したことのまとめ
・デザイン教育は、他の分野が求める新しい教育手法の宝庫である。
・デザイン制作のような短いスパンでクラッシュ&ビルドを繰り返す学問は、あまり他に見当たらない。
・手作業を中心とした身体的訓練の場であある。(今コンピュータ教育が陥っている問題の解決がある)
・問題発見、問題解決を身体的訓練によって行う学問である。
・今話題のプロジェクト型授業は、昔から当たり前に行われていた。
・アトリエ型授業が主流である。

 そこで出た質問「アトリエ型授業ってなんですか?」。

 アトリエ型授業とは、例えばデッサンのように自分以外のの受講生の制作過程を全て共有しながら授業を受けている状態を言います。

 通常行われる全員が教員の方を向いている「質問解答型の授業」では、教員対自分の関係は作れても、他の学生の考えていることや作品を見ることによる「気づき」は生まれません。

 アトリエ型の授業のもう一つの特徴は「教員と学生間のインタラクション」の共有化です。デッサンなどをやっていると、先生が「あれれ、△△君ここはもう少しこうしようよ。」と言った後に「みんな〜!よく聞けよ〜。」「ここは誰でも間違えるところだから、よく見てくれ〜!」と大声で言うことがよくあります。
 学生と教員とのやりとりが、ナレッジとして教室内で共有されるのです。

 頻繁に「リフレクション」を行うのも、アトリエ型授業の特徴です。リフレクションとは、アメリカの社会学者G.H.ミードが提唱した自分自身を「距離をおいて他者の立場から見る」こと。内省的な反省とは違い、自分の考えを「外化」することで、それを教室内全員で「体験」として捉え「振り返り」を促進します。

 これを大きく解釈してゆくと、授業ブログを立ち上げて、学生のレポートは自分のブログからのトラックバックで行うという授業も成り立ってきます

 学生達は、自分の制作過程や思考プロセスを公開し、他の学生からコメントをもらい、また自分も他の学生にコメントをします。時にはメーカーのデザイナーが、そこに乱入してアドバイスをすることもあります。こういった自分対教員のインタラクションだけではなく、自分対Nのインタラクションがもたらす「気づき」「振り返り」を創出するのが「アトリエ型」授業です。

posted by アサノ | 05:01 | 情報デザイン 授業事例 | comments(0) | trackbacks(0) |
コメント
コメントする










この記事のトラックバックURL
トラックバック機能は終了しました。
トラックバック
Search this site