経験デザインとエスノグラフィを語る私的なブログ
インフォグラフィックス・ワークショップ 1 報告 後編



 夕方17時になり講評会開始。朝10時から始まったので、ここまで7時間の制作時間です。後ろは「109」チームの作品。



 「109」チームのメンバー。「109ギャルができるまで」という、ユーザの成長プロセスを描いたもの。



 「Tokyu Foodshow」チームのプレゼン。交通機関とのアクセスの良さをアピール。



 講評会はたっぷり時間が取ってあるので、会場から沢山の意見や質問が飛びます。


 
会場からの質問に答える「Tokyu Foodshow」チームの面々。



 「QFRONT」のチームは、貼った後も描き込むプロ根性を見せる。



 「QFRONT」チームの面々。



 完成度の高い作品には、質問が集中する。



人間プロッター達(笑)が描いた「東急ハンズ」の作品。



 「東急ハンズ」チームの面々。なぜかここはグラフィックじゃなくて、GUIのデザイナーが集合。そういえば進め方が論理的だったな。



 「LOFT」のチームは、対象の特徴の無さに苦戦しつつ、「五感」をテーマに制作。



 19時を過ぎたあたりで終了。木村さん、参加者の皆さん、お疲れさまでした。



 私も最後に講評をさせてもらい、フィールドワークとシャッフルディスカッションのやり方とそれに繋がる作品の問題について話す。私が話している後ろで、棚橋さんがホワイトボードに話を構造化してくれた。おお、こちらの方が凄い。(笑)
 
この後懇親会に突入

□関連情報:
インフォグラフィックス・ワークショップ 1 終了
武蔵工大福聚くん

□リフレクション
「インフォグラフィックス・ワークショップ1 リフレクション」
多摩美術大学情報デザイン学科
109チーム カホちゃん

●目的
どんどん作品にのめり込むのではなく、客観的に見る事のできるマクロの視点も持ち、どれだけ自分
の作品を直していけるか。
そして自分以外全員社会人という中でも積極的に意見やアイディアを出していく姿勢をもつ。

●事前調査
下見は2度行き、109によく行く友達に話を聞いたりしたが、それが資料としていかされなかった。
この情報は使えない、と捨ててしまっているものが多かった。
どんな情報でもアウトプットにする時にどれだけ昇華できるかが大切。

そしてアイディアスケッチが不十分だった。
アイディアは何個か考えてきたものの、それを説明する時の事を考えていなかった。
自分で分かるように描いてしまっては、相手には伝わらない。
しっかり大きい紙に描き、チーム全員に伝わるよう配慮が必要。

●ディスカッション
調査から戻り、アイディアをそれぞれ紙に描き出していった。
だがしっかり何を見るか、どんな事に焦点を当てるか?ということを決めていなかったために全員が
色んな種類のアイディアを出し、それをまとめるのに時間をとってしまった。
的を絞り、それについてアイディアを出して行ったほうがもう少し掘り下げた作品が出来たのではな
いか。

話し合いよりも模造紙の上で描きながらディスカッションをしたのは良かった。
これは進みもスムーズにいけたので、これからもいかしていきたいと思う。

●シャッフルディスカッション
チームでの内容の共有が不十分だったり、自分の理解不足だったりで、ワークショップをやる度に一
番の弱点となってきたシャッフルディスカッションだったが、しっかりと頭の中に話し合った内容が
今回はあり、不安がらず伝える事は出来た。
だが次はどう相手に伝えるか?どうすれば理解してもらえるか?
そういう方法を考えて相手に発信しなければならない。

そして「賛同」という役割の本質が見抜けていなかった。
「異見」だけではなく「賛同」があることで第三者がどこを良いなと思ってくれているのか、という
ことを知るだけでそこを突き詰めたり、自信が持てたりする。
それを自分が体験するまで理解できていなかった。
「賛同」という役割がなくとも、賛成しながら異見を言うことは相手のモチベーションをあげる効果
があるので必要。

●デザイン制作
時間がないからといって、塗りや線などが雑になってしまった。
インフォグラフィックスを描き、それを人に見てもらうという以上、最低限の仕事の丁寧さは必要。
仕事が綺麗なほうが作品もよく見える。だが、模造紙に早い段階から入ることでどんどん直して行く
ことが出来たのでそれは良かった。

●全体を通して
今回は意見などを積極的に出していけたと思う。
だが時間に焦りを感じ、時間をかけなければいけないところもざっと流してしまったように思える。
どこが重要でどこが浅くても平気かということを見極めて進めて行ったほうがよい。

posted by アサノ | 05:56 | 情報デザイン | comments(0) | trackbacks(0) |
インフォグラフィックス・ワークショップ 1 報告 中編


 第1回目のシャッフルディスカッションの後は、紙を模造紙に変えて、どんどんコンセプトを固めてゆく。



 この時点では小さな紙で議論しないで、アイディアを直接形にしてゆく。プロトタイプの制作時間は1時間弱。忙しい!



 1時間後に第2回シャッフルディスカッションスタート。この組合わせ表、木村さんが書いたのですが、小林さんに言わせると「こういうのが雑ではないラフ。」だそうです。さらっと書いてるけど、行間とか全然狂ってない・・・。良く見ると唖然とした。w



 5分間自分達のグループのコンセプトを話して、5分間他のグループから来た人のアドバイスを受ける。アドバイスする側には、肯定する人と批判する担当者がいて意図的にかき回す。これを2セット30分弱。



 シャッフルディスカッション2回目は1回目と違い、コンセプトがかなり決まってきているので議論に身がある。やはりシャッフルディスカッションは、ある程度コンセプトを固めてから行った方が効果があるようだ。つうか、本来は煮詰まった時にこそ効果がある。



 私と同じくオブザーバーで参加の棚橋さんからコメント。私も棚橋さんもグラフィック出身ではないが、今回のような上流工程なら言うことは沢山あるね。



 一通りテーブルを回って、皆さんがとっているメモを覗く。流石に社会人は学生と違って、メモをきちんと書いてますね。



 シャッフルディスカッション後は、1時間で制作物完成に向かってGO!
 いきなり4人で同時に上から描いていくグループ。人間プロッターのような凄い技だ(笑)



 こういう時の社会人デザイナーのスピードは凄い。参加した学生は良い勉強になったと思います。

□関連情報:
tube_log
DESIGN IT! w/LOVE
posted by アサノ | 05:21 | 情報デザイン | comments(0) | trackbacks(0) |
インフォグラフィックス・ワークショップ 1 報告 前編


 チューブグラフィックスの木村さん主催「インフォグラフィックス・ワークショップ 1」が渋谷で行われ、勉強のためオブザーバー(写真係り)として参加させていただいてきた。



 まずは渋谷の街で、指定された施設のフィールドワークを行う。私もあるグループについて「参与観察」。露骨に写真を撮るわけにもゆかず、そっと観察を行う。



 こういう状態のフィールドワークを「完全なる参加者」と呼び、体験やインタビューの出来ない、対象者が観察されていることを知らない状態での行動となる。対象者の積極的な協力が得られないので、データの収集には苦労するんだよな〜。



 今回の参加メンバーは20名。そのうち学生は3名という、社会人デザイナー主体のワークショップだ。



 そのため、かなり手際も良いし、作業のレベルも高い。まずは、フィールドワークの結果を、スケッチとメモで共有化する。



 帰ってきて1時間目には、第1回シャッフルディスカッションを実施。



 初めて行う参加者もおり、最初は混乱気味。やってみなくては分からないので、まずはあまり説明なしで実体験してもらう。



 まだコンセプトが曖昧のまま突入。他のグループからコメントをもらい、コンセプトの精緻化を行う。う〜ん、上手くまとまらない・・・。



 先週のワークショップの経験から、壁にスケッチを貼って議論するやり方を採用。確かに壁に貼っているグループの方が、議論が活性化するようだ。



 講師の小林さんや、上平先生からコメントをもらい。更に次の段階に突入。

□関連情報:tube_log
posted by アサノ | 06:38 | 情報デザイン | comments(0) | trackbacks(0) |
前期末口頭試問


 金曜日は、各ゼミが前期末の口頭試問の日です。いろいろなゼミを覗いてチャチャを入れて回ってきましたが、音楽制作の連中の発表は面白かった。

 コンピュータを介していても、感性が論理に勝っている作品を見るのは楽しい。それと反対にうちのゼミ生の発表は、一手一手理屈に合った将棋を見ているみたいで、わくわくしないね。贅沢か・・・。
posted by アサノ | 05:19 | 日記 | comments(0) | trackbacks(0) |
HCD-Net サロン 「HCDと感性」


 昨夜新宿で今年3回目のHCD-Netサロンがありました。通常はHCD-Netの会員のみのクローズされた懇談会なのですが、「HCDと感性」という面白そうなテーマのため、会員外にも公開したセッションとなりました。80人ぐらい来てたかな。

 お話はというと、もう少し「感性工学」的な数値化された話が多いかなと思ってましたが、意外と定性的なお話で面白かった。私も最近、プロトタイプから先のデザインへの昇華みたいなことに興味があるので、いろいろと思うことがありました。もう少し整理しないと書けないけど・・・。

 終了後は、パネラーや理事のメンバーと飲み会。「こういう話って、普段会社ではなかなかできないんですよね。」というのは、誰もが同じようだ。

□関連情報:kojicozyの散歩日和

 別件ですが、会場で会った安藤さんから「公立産業技術大学院大学」の話を聞く。首都大学を母体にした「感性と機能の統合デザイナー」の育成を目指す独立大学院大学だそうだ。やられた!って感じですね。
posted by アサノ | 08:14 | 情報デザイン | comments(0) | trackbacks(0) |
良いデザインをするには2
 このエントリー人気があるので、柳の下に2匹目のどじょうを狙ってみました。(笑)

 前回の「良いデザインをするには」の補足です。ちょっと書くと簡単だが、それが出来るようになるには相当の訓練が必要。

 それは、「マクロ」と「ミクロ」、「経験」と「内省」、「客観」と「主観」を行ったり来たりすることです。ある人はデッサンがその訓練になったというし、アメリカンフットボールで日本一になった選手は、そのスポーツの中で「全体像」と「目の前のこと」を同時に見る目を養ったと言っていました。

「マクロ」とミクロ」
 私も、デッサンをする時には5分おきぐらいに椅子から立って、後ろに下がって全体像を見ます。また、座って鉛筆を文字を書くように持って描き込んだり。物事を同時に「俯瞰」と「細部を注視」することって大切だと思う。バランスの良い作品を作るには、絶対必要なこと。

「経験」と「内省」
 作品を他人に評価してもらうことも大切。よく学生で作品をほとんど人に見せない人がいますが、それはNG。他人の目に晒せば晒すほど(これが経験)鍛えられ「どこが悪いのだろう?」と内省します。この機会を作るだけで、先生が何も教えなくとも学生は育ちます。うちはイベント多いな〜

「客観」と「主観」
 うちのゼミでは、なにかあるごとに「リフレクションしなさい。」と言います。これは自分を他人の目で見つめること。ほら福田元総理も言ってたじゃないですか「私は自分を客観的に見れるんです。あなたとは違うんです。」とさ。

 もう一つは「引き出し」を沢山持つこと。以前イタリア人のデザイナーに「考えたってクリエイティブなものなんか考えつくはずが無い。」と言われて驚いた。けど、良く考えてみればそうだよね。

 問題なのは、沢山事例(特に他業種)を知っていて、今の案件に対する「収まり」をどう作るかだ。だから、私の知り合い達は、どこにでも出かけて貪欲にものを見るのでしょう。これは真似じゃないよ。イノベーションだね。
posted by アサノ | 05:54 | 情報デザイン | comments(4) | trackbacks(0) |
アイディアスケッチ
 先日うちのゼミ生が1年生約50名にアイコンを考えてもらっていたのを覗いた時です。最初には「必ずPCで直接作らず、紙にラフスケッチしてから考えるように。」と言ってあったのですが。見に行ったら、とんでもなく小さな絵が数点ぽつぽつと、まるでPCで作る前のセレモニーみたいに描いている子ばかりでした。まあ本来は私が入って、マトリックスでも作ってデザイン展開法を教えれば良かったのですが。



 話は変わって、先日の「横浜ワークショップ2008:フォローアップ講習会」の時のこと。私が一休みして研究室にいたら、吉橋先生が「マーカーとかありませんか?」と聞きに来た。なんでかと思いついて行くと。



 ちまちまとシャープペンシルやボールペンでラフスケッチを描いているチームの議論が遅れていると言うのです。そこでマーカーやカラーペンでアイディアスケッチを描くことを教えるという。



 おお、はっきり濃くなりました。更に壁に貼ってみようというのです。



 みてくださいこの違い。手前がシャープペンシルで、奥がプロッキー。



 するとどうでしょう、そこここで活発な議論が始まったのです。



 こちらでも。



 机の上の薄い絵で議論すると、イメージを共有しにくいのでしょう。



 このチームぐらい活発に展開できると良いね。結局は、人間が考えていることなんて、はっきりとしたモデルにして頭から出して見せないと共有化なんて出来ないという事か。

 グループ作業だけではなく個人の活動ですら、自分で自分の思考って顕在化されてないんだよね。座って議論するのと立って議論するのでも、活発さが違う。こういう発見って、短期決戦のワークショップははっきり分かるから面白い。来週から後期授業が始まるから、こうやって得た知見は応用して定着化してみたい。
posted by アサノ | 06:14 | 情報デザイン | comments(1) | trackbacks(0) |
フィールドワークの技法 問いを育てる、仮説をきたえる


 ある人から聞いた社会学の話が面白かったので、たぶん原典であろうこの書をアマゾンで購入。「フィールドワークの技法 問いを育てる、仮説をきたえる」佐藤郁哉著 新曜社

 秋分の日は、これでも読んで遥かなフィールドに思いを馳せようか・・・。
posted by アサノ | 06:01 | 情報デザイン 関連図書 | comments(2) | trackbacks(0) |
横浜ワークショップ2008:フォローアップ講習会終了


 以前ご案内した、「横浜ワークショップ2008:フォローアップ講習会」を行いました。ワークショップ7チーム35人中6チーム16名が参加しました。講師は、吉橋先生と棚橋さんと私(雑用係)。



 まずは吉橋先生のレクチャー。だいたいの発表形式とフォーマットを伝えて、個別の相談に入ります。



 途中吉橋先生の提案で、アイディアスケッチをシャープペンシルやボールペンで描くのをやめて、マーカーを使い壁に貼って見ることを指導。ディスカッションが活発になる。こういうこともグループワークのノウハウなんですね。思わず納得。これについては、後日もう少し詳しく書きます。

 これで後は、各チームで作り込む作業に入ってください。大雨の日曜日皆さんお疲れさまでした。
posted by アサノ | 03:59 | Xデザインフォーラム | comments(0) | trackbacks(0) |
センスを磨く
 昨日の「良いデザインをするには」の補足。よく聞かれることに「どうやったら、センスが良くなりますか?」というのがある。
 デザインの学校だから、センスを良くする授業があってもよさそうだけど。それだけの授業は無い。

 ではどうするのかというと、真似をするしかない。田舎からセンスの悪い服装の男の子が都会に出てきたと仮定してください。都会にはかっこいい人もいるし、テレビに出てくる芸能人もいます。まずは、そういった人達の着ている服と同じものを探して着ましょう。それを繰り返します。

 意外と人間て「収まり」をつける能力があるらしく、いつまでも芸能人のコピーのようには見えないものなのです。少しずつ、自分らしい着こなしになってくる。
 1年ぐらい経つと「○○君、随分センス良くなったね♪」ということになってめでたしめでたし。

 作品も同じで、良いと思う先達の作品をどんどん真似よう。必ずいつのまにかコピーとは思われないような個性が出てくるものなのです。
posted by アサノ | 05:30 | 日記 | comments(0) | trackbacks(0) |
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